N個の質点系における運動量保存則に関する問題です。具体的には、以下の3つの問いに答えます。 (a) 外力が働かない場合に、運動量保存則が $\frac{d}{dt}(\sum_{j=1}^{N} m_j v_j)=0$ と表されることを説明する。 (b) 重心の位置ベクトル $R$ の定義式 $R = \frac{\sum_{j=1}^{N} m_j r_j}{\sum_{j=1}^{N} m_j}$ について、N個の質点が全て同じ質量であるとき、重心ベクトルがどのように表されるかを説明し、その意味を説明する。 (c) 全運動量 $P$ が $P = MV = M\frac{dR}{dt}$ であることを示し、$V$ の意味と物理的意味を説明する。

応用数学運動量保存則重心質点系力学微分
2025/6/12

1. 問題の内容

N個の質点系における運動量保存則に関する問題です。具体的には、以下の3つの問いに答えます。
(a) 外力が働かない場合に、運動量保存則が ddt(j=1Nmjvj)=0\frac{d}{dt}(\sum_{j=1}^{N} m_j v_j)=0 と表されることを説明する。
(b) 重心の位置ベクトル RR の定義式 R=j=1Nmjrjj=1NmjR = \frac{\sum_{j=1}^{N} m_j r_j}{\sum_{j=1}^{N} m_j} について、N個の質点が全て同じ質量であるとき、重心ベクトルがどのように表されるかを説明し、その意味を説明する。
(c) 全運動量 PPP=MV=MdRdtP = MV = M\frac{dR}{dt} であることを示し、VV の意味と物理的意味を説明する。

2. 解き方の手順

(a) 運動量保存則の説明
系に外力が働かない場合、各質点に働く力は他の質点からの内力のみです。したがって、質点 jj の運動方程式は
mjdvjdt=Fj=kjFkjm_j \frac{dv_j}{dt} = F_j = \sum_{k \neq j} F_{kj}
ここで、FkjF_{kj} は質点 k が質点 j に及ぼす力です。全運動量の時間変化は、
ddt(j=1Nmjvj)=j=1Nmjdvjdt=j=1NFj=j=1NkjFkj\frac{d}{dt}(\sum_{j=1}^{N} m_j v_j) = \sum_{j=1}^{N} m_j \frac{dv_j}{dt} = \sum_{j=1}^{N} F_j = \sum_{j=1}^{N} \sum_{k \neq j} F_{kj}
作用反作用の法則より、Fkj=FjkF_{kj} = -F_{jk} なので、二重和の中の各項は打ち消し合い、
j=1NkjFkj=0\sum_{j=1}^{N} \sum_{k \neq j} F_{kj} = 0
したがって、
ddt(j=1Nmjvj)=0\frac{d}{dt}(\sum_{j=1}^{N} m_j v_j)=0
が成り立ちます。
(b) 重心ベクトルの表現と意味
N個の質点が全て同じ質量 mm であるとき、全質量 M=j=1Nmj=NmM = \sum_{j=1}^{N} m_j = Nm です。したがって、重心の位置ベクトルは
R=j=1NmrjNm=mj=1NrjNm=j=1NrjNR = \frac{\sum_{j=1}^{N} m r_j}{Nm} = \frac{m \sum_{j=1}^{N} r_j}{Nm} = \frac{\sum_{j=1}^{N} r_j}{N}
これは、各質点の位置ベクトルの算術平均を表しています。つまり、重心は各質点の位置の中央に位置します。
(c) 全運動量の表現と VV の意味
全運動量 PP は、各質点の運動量の総和なので、
P=j=1NmjvjP = \sum_{j=1}^{N} m_j v_j
一方、重心の位置ベクトル RR は、
R=j=1NmjrjMR = \frac{\sum_{j=1}^{N} m_j r_j}{M}
であり、M=j=1NmjM = \sum_{j=1}^{N} m_j は全質量です。この式を変形すると、
MR=j=1NmjrjMR = \sum_{j=1}^{N} m_j r_j
この両辺を時間で微分すると、
MdRdt=j=1Nmjdrjdt=j=1Nmjvj=PM \frac{dR}{dt} = \sum_{j=1}^{N} m_j \frac{dr_j}{dt} = \sum_{j=1}^{N} m_j v_j = P
したがって、P=MV=MdRdtP = MV = M \frac{dR}{dt} が成り立ちます。ここで、V=dRdtV = \frac{dR}{dt} は重心の速度を表します。
全運動量 PP は、全質量 MM が重心の速度 VV で運動しているかのように表されることを意味します。

3. 最終的な答え

(a) 外力が働かないとき、作用反作用の法則から内力は打ち消し合い、ddt(j=1Nmjvj)=0\frac{d}{dt}(\sum_{j=1}^{N} m_j v_j)=0 となる。
(b) 全ての質点が同じ質量 mm のとき、重心の位置ベクトルは R=j=1NrjNR = \frac{\sum_{j=1}^{N} r_j}{N} となり、各質点の位置ベクトルの算術平均を表す。
(c) 全運動量は P=MV=MdRdtP = MV = M \frac{dR}{dt} と表され、V=dRdtV = \frac{dR}{dt} は重心の速度を表す。 全運動量PPは、全質量 MM が重心の速度 VV で運動しているかのように表される。

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