(1) 素数 $p$ と $1 \le r \le p-1$ なる整数 $r$ に対して、二項係数に関する等式 $r \cdot {}_pC_r = p \cdot {}_{p-1}C_{r-1}$ が成り立つことを示し、また、${}_pC_r$ が $p$ の倍数であることを示す。 (2) 素数 $p$ に対して $2^p$ を $p$ で割った余りを求める。

数論二項係数素数フェルマーの小定理合同式
2025/3/28

1. 問題の内容

(1) 素数 pp1rp11 \le r \le p-1 なる整数 rr に対して、二項係数に関する等式 rpCr=pp1Cr1r \cdot {}_pC_r = p \cdot {}_{p-1}C_{r-1} が成り立つことを示し、また、pCr{}_pC_rpp の倍数であることを示す。
(2) 素数 pp に対して 2p2^ppp で割った余りを求める。

2. 解き方の手順

(1)
まず、nCk=n!k!(nk)!{}_nC_k = \frac{n!}{k!(n-k)!} であることを利用して、与えられた等式の左辺と右辺を計算する。
左辺:
rpCr=rp!r!(pr)!=rp(p1)!r(r1)!(pr)!=p(p1)!(r1)!(pr)!r \cdot {}_pC_r = r \cdot \frac{p!}{r!(p-r)!} = r \cdot \frac{p \cdot (p-1)!}{r \cdot (r-1)! (p-r)!} = p \cdot \frac{(p-1)!}{(r-1)!(p-r)!}
右辺:
pp1Cr1=p(p1)!(r1)!((p1)(r1))!=p(p1)!(r1)!(pr)!p \cdot {}_{p-1}C_{r-1} = p \cdot \frac{(p-1)!}{(r-1)!((p-1)-(r-1))!} = p \cdot \frac{(p-1)!}{(r-1)!(p-r)!}
したがって、rpCr=pp1Cr1r \cdot {}_pC_r = p \cdot {}_{p-1}C_{r-1} が成り立つ。
次に、pCr=prp1Cr1{}_pC_r = \frac{p}{r} \cdot {}_{p-1}C_{r-1} であるから、rpCr=pp1Cr1r \cdot {}_pC_r = p \cdot {}_{p-1}C_{r-1}pCr=prp1Cr1{}_pC_r = \frac{p}{r} \cdot {}_{p-1}C_{r-1} と変形できる。
ここで、pCr{}_pC_r は整数であり、1rp11 \le r \le p-1 より、rrpp と互いに素である。
したがって、pCr{}_pC_r が整数であるためには、pp1Cr1p \cdot {}_{p-1}C_{r-1}rr で割り切れなければならないが、pprr は互いに素なので、p1Cr1{}_{p-1}C_{r-1}rr で割り切れなければならない。
しかし、pCr=p!r!(pr)!{}_pC_r = \frac{p!}{r!(p-r)!} と表せるので、pCr{}_pC_r は整数である。
ここで、rpCr=pp1Cr1r \cdot {}_pC_r = p \cdot {}_{p-1}C_{r-1} より、pCr=pp1Cr1r{}_pC_r = \frac{p \cdot {}_{p-1}C_{r-1}}{r} が得られる。pCr{}_pC_r が整数なので、rrpp1Cr1p \cdot {}_{p-1}C_{r-1} を割り切る。rrpp と互いに素であるから、rrp1Cr1{}_{p-1}C_{r-1} を割り切る。つまり、rrp1Cr1{}_{p-1}C_{r-1} の約数である。
rpCr=pp1Cr1r \cdot {}_pC_r = p \cdot {}_{p-1}C_{r-1} であるので、pCr=prp1Cr1{}_pC_r = \frac{p}{r} \cdot {}_{p-1}C_{r-1} と変形できる。
pCr{}_pC_rは整数なので、pp1Cr1p \cdot {}_{p-1}C_{r-1}rrで割り切れる。ppは素数であり、1rp11 \le r \le p-1より、pprrを割り切らないので、p1Cr1{}_{p-1}C_{r-1}rrで割り切れる。
rpCr=pp1Cr1r \cdot {}_pC_r = p \cdot {}_{p-1}C_{r-1} より、pp1Cr1p \cdot {}_{p-1}C_{r-1}rr の倍数である。
ここで、pp は素数なので、pprr は互いに素である。
したがって、pCr{}_pC_rpp の倍数である。
(2)
フェルマーの小定理より、素数 pp に対して、2p2(modp)2^p \equiv 2 \pmod{p} である。
したがって、2p2^ppp で割った余りは 22 である。

3. 最終的な答え

(1) rpCr=pp1Cr1r \cdot {}_pC_r = p \cdot {}_{p-1}C_{r-1} が成り立つことと、pCr{}_pC_rpp の倍数であることは上記参照。
(2) 22

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