$R[x]_3$は実数係数の3次以下の多項式全体からなるベクトル空間である。与えられた各$W$が$R[x]_3$の部分空間であるかどうかを判定する。部分空間であるためには、以下の3つの条件を満たす必要がある。 (1) ゼロベクトル(零多項式)が含まれる。 (2) スカラー倍で閉じている。 (3) 和で閉じている。

代数学線形代数ベクトル空間部分空間多項式
2025/6/13

1. 問題の内容

R[x]3R[x]_3は実数係数の3次以下の多項式全体からなるベクトル空間である。与えられた各WWR[x]3R[x]_3の部分空間であるかどうかを判定する。部分空間であるためには、以下の3つの条件を満たす必要がある。
(1) ゼロベクトル(零多項式)が含まれる。
(2) スカラー倍で閉じている。
(3) 和で閉じている。

2. 解き方の手順

(a) W={f(x)R[x]3f(0)=0,f(1)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(0) = 0, f(1) = 0\}
(1) 零多項式f(x)=0f(x) = 0は、f(0)=0f(0) = 0かつf(1)=0f(1) = 0を満たすので、WWに含まれる。
(2) f(x)Wf(x) \in Wとする。このとき、f(0)=0f(0) = 0かつf(1)=0f(1) = 0である。任意のcRc \in Rに対して、cf(x)cf(x)を考えると、cf(0)=c0=0cf(0) = c \cdot 0 = 0かつcf(1)=c0=0cf(1) = c \cdot 0 = 0なので、cf(x)Wcf(x) \in Wである。
(3) f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in Wとする。このとき、f(0)=0f(0) = 0かつf(1)=0f(1) = 0であり、g(0)=0g(0) = 0かつg(1)=0g(1) = 0である。f(x)+g(x)f(x) + g(x)を考えると、f(0)+g(0)=0+0=0f(0) + g(0) = 0 + 0 = 0かつf(1)+g(1)=0+0=0f(1) + g(1) = 0 + 0 = 0なので、f(x)+g(x)Wf(x) + g(x) \in Wである。
よって、WWは部分空間である。
(b) W={f(x)R[x]3f(0)=1,f(1)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(0) = 1, f(1) = 0\}
零多項式f(x)=0f(x) = 0は、f(0)=01f(0) = 0 \neq 1なので、WWに含まれない。
よって、WWは部分空間ではない。
(c) W={f(x)R[x]3f(3)=0,f(2)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(3) = 0, f(2) = 0\}
(1) 零多項式f(x)=0f(x) = 0は、f(3)=0f(3) = 0かつf(2)=0f(2) = 0を満たすので、WWに含まれる。
(2) f(x)Wf(x) \in Wとする。このとき、f(3)=0f(3) = 0かつf(2)=0f(2) = 0である。任意のcRc \in Rに対して、cf(x)cf(x)を考えると、cf(3)=c0=0cf(3) = c \cdot 0 = 0かつcf(2)=c0=0cf(2) = c \cdot 0 = 0なので、cf(x)Wcf(x) \in Wである。
(3) f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in Wとする。このとき、f(3)=0f(3) = 0かつf(2)=0f(2) = 0であり、g(3)=0g(3) = 0かつg(2)=0g(2) = 0である。f(x)+g(x)f(x) + g(x)を考えると、f(3)+g(3)=0+0=0f(3) + g(3) = 0 + 0 = 0かつf(2)+g(2)=0+0=0f(2) + g(2) = 0 + 0 = 0なので、f(x)+g(x)Wf(x) + g(x) \in Wである。
よって、WWは部分空間である。
(d) W={f(x)R[x]3f(1)0,f(2)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(1) \leq 0, f(2) = 0\}
零多項式f(x)=0f(x) = 0は、f(1)=00f(1) = 0 \leq 0かつf(2)=0f(2) = 0を満たすので、WWに含まれる。
f(x)Wf(x) \in Wとすると、f(1)0f(1) \leq 0かつf(2)=0f(2) = 0である。
f(x)=x+2f(x) = -x + 2を考えると、f(1)=1+2=1>0f(1) = -1 + 2 = 1 > 0。 よってf(x)f(x)WW に含まれません。
f(x)=x+2,f(1)=1,f(2)=0f(x) = -x+2, f(1)=1, f(2)=0
g(x)=x2,g(1)=1,g(2)=0g(x) = x-2, g(1)=-1, g(2)=0
f(1)+g(1)=0f(1)+g(1) = 0.
f(x)+g(x)=0f(x)+g(x) = 0.
f(x)=x2f(x) = x - 2の場合、f(1)=1f(1) = -1なので、f(x)Wf(x) \in W。しかし、(1)f(x)=x+2(-1)f(x) = -x + 2とすると、(1)f(1)=1>0(-1)f(1) = 1 > 0なので、(1)f(x)W(-1)f(x) \notin Wである。よって、スカラー倍で閉じていないので、WWは部分空間ではない。
(e) W={f(x)R[x]3f(3)=0,f(1)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f(3) = 0, f(1) = 0\}
(1) 零多項式f(x)=0f(x) = 0は、f(3)=0f(3) = 0かつf(1)=0f(1) = 0を満たすので、WWに含まれる。
(2) f(x)Wf(x) \in Wとする。このとき、f(3)=0f(3) = 0かつf(1)=0f(1) = 0である。任意のcRc \in Rに対して、cf(x)cf(x)を考えると、cf(3)=c0=0cf(3) = c \cdot 0 = 0かつcf(1)=c0=0cf(1) = c \cdot 0 = 0なので、cf(x)Wcf(x) \in Wである。
(3) f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in Wとする。このとき、f(3)=0f(3) = 0かつf(1)=0f(1) = 0であり、g(3)=0g(3) = 0かつg(1)=0g(1) = 0である。f(x)+g(x)f(x) + g(x)を考えると、f(3)+g(3)=0+0=0f(3) + g(3) = 0 + 0 = 0かつf(1)+g(1)=0+0=0f(1) + g(1) = 0 + 0 = 0なので、f(x)+g(x)Wf(x) + g(x) \in Wである。
よって、WWは部分空間である。
(f) W={f(x)R[x]3f(x)2xf(x)=0}W = \{f(x) \in R[x]_3 | f''(x) - 2xf'(x) = 0\}
(1) 零多項式f(x)=0f(x) = 0を考える。f(x)=0f'(x) = 0かつf(x)=0f''(x) = 0なので、f(x)2xf(x)=02x0=0f''(x) - 2xf'(x) = 0 - 2x \cdot 0 = 0を満たす。よって、WWに零多項式が含まれる。
(2) f(x)Wf(x) \in Wとすると、f(x)2xf(x)=0f''(x) - 2xf'(x) = 0である。任意のcRc \in Rに対して、cf(x)cf(x)を考えると、(cf(x))2x(cf(x))=cf(x)2xcf(x)=c(f(x)2xf(x))=c0=0(cf(x))'' - 2x(cf(x))' = cf''(x) - 2xcf'(x) = c(f''(x) - 2xf'(x)) = c \cdot 0 = 0なので、cf(x)Wcf(x) \in Wである。
(3) f(x),g(x)Wf(x), g(x) \in Wとすると、f(x)2xf(x)=0f''(x) - 2xf'(x) = 0かつg(x)2xg(x)=0g''(x) - 2xg'(x) = 0である。f(x)+g(x)f(x) + g(x)を考えると、(f(x)+g(x))2x(f(x)+g(x))=f(x)+g(x)2x(f(x)+g(x))=(f(x)2xf(x))+(g(x)2xg(x))=0+0=0(f(x) + g(x))'' - 2x(f(x) + g(x))' = f''(x) + g''(x) - 2x(f'(x) + g'(x)) = (f''(x) - 2xf'(x)) + (g''(x) - 2xg'(x)) = 0 + 0 = 0なので、f(x)+g(x)Wf(x) + g(x) \in Wである。
よって、WWは部分空間である。

3. 最終的な答え

(a) 部分空間である。
(b) 部分空間ではない。
(c) 部分空間である。
(d) 部分空間ではない。
(e) 部分空間である。
(f) 部分空間である。

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