(4) $f(x,y) = \sqrt{x^2 + y^4}$ のとき、偏微分係数 $f_x(0,0)$ と $f_y(0,0)$ を求めよ。 (5) $f(x,y) = \lim_{p \to \infty} (|3x|^p + |2y|^p)^{\frac{1}{p}}$ のとき、偏微分係数 $f_x(1,1)$ と $f_y(1,1)$ を求めよ。

1. 問題の内容

(4) $f(x,y) = \sqrt{x^2 + y^4}$ のとき、偏微分係数 $f_x(0,0)$ と $f_y(0,0)$ を求めよ。

(5) $f(x,y) = \lim_{p \to \infty} (|3x|^p + |2y|^p)^{\frac{1}{p}}$ のとき、偏微分係数 $f_x(1,1)$ と $f_y(1,1)$ を求めよ。

2. 解き方の手順

(4)

$f_x(0,0)$ は、$x$ に関する偏微分を $(0,0)$ で評価したものです。偏微分の定義に従って計算します。

$f_x(0,0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(h,0) - f(0,0)}{h}$

$f(h,0) = \sqrt{h^2 + 0^4} = \sqrt{h^2} = |h|$

$f(0,0) = \sqrt{0^2 + 0^4} = 0$

よって、

$f_x(0,0) = \lim_{h \to 0} \frac{|h| - 0}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{|h|}{h}$

この極限は、右極限と左極限が異なるため、存在しません。

$\lim_{h \to +0} \frac{|h|}{h} = 1$

$\lim_{h \to -0} \frac{|h|}{h} = -1$

$f_y(0,0)$ についても同様に計算します。

$f_y(0,0) = \lim_{k \to 0} \frac{f(0,k) - f(0,0)}{k}$

$f(0,k) = \sqrt{0^2 + k^4} = \sqrt{k^4} = k^2$

$f(0,0) = 0$

よって、

$f_y(0,0) = \lim_{k \to 0} \frac{k^2 - 0}{k} = \lim_{k \to 0} k = 0$

(5)

まず、$f(x,y)$ を求めます。

$f(x,y) = \lim_{p \to \infty} (|3x|^p + |2y|^p)^{\frac{1}{p}}$

$(1,1)$ の近傍では、$x>0$ かつ $y>0$ であるので、$|3x|=3x$ かつ $|2y|=2y$ となります。

したがって、

$f(1,1) = \lim_{p \to \infty} (3^p + 2^p)^{\frac{1}{p}} = \lim_{p \to \infty} 3(1 + (\frac{2}{3})^p)^{\frac{1}{p}} = 3$

一般に、$f(x,y) = \max\{3x, 2y\}$ となります。

$f_x(1,1)$ を求めます。

$f_x(1,1) = \lim_{h \to 0} \frac{f(1+h, 1) - f(1,1)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{\max\{3(1+h), 2\} - 3}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{\max\{3+3h, 2\} - 3}{h}$

$h$ が小さいとき $3+3h > 2$ なので、

$f_x(1,1) = \lim_{h \to 0} \frac{3+3h - 3}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{3h}{h} = 3$

$f_y(1,1)$ を求めます。

$f_y(1,1) = \lim_{k \to 0} \frac{f(1, 1+k) - f(1,1)}{k} = \lim_{k \to 0} \frac{\max\{3, 2(1+k)\} - 3}{k} = \lim_{k \to 0} \frac{\max\{3, 2+2k\} - 3}{k}$

$k$ が小さいとき $3 > 2+2k$ なので、

$f_y(1,1) = \lim_{k \to 0} \frac{3 - 3}{k} = \lim_{k \to 0} \frac{0}{k} = 0$

3. 最終的な答え

(4) $f_x(0,0)$: 存在しない, $f_y(0,0) = 0$

(5) $f_x(1,1) = 3$, $f_y(1,1) = 0$