$a > 1$ のとき、無限等比級数 $a + ax(1-ax) + ax^2(1-ax)^2 + ax^3(1-ax)^3 + \dots$ が収束するような実数 $x$ の範囲を求め、そのときの和 $S(x)$ を求める。さらに、$x$ が求めた範囲を動くとき、$S(x)$ のとり得る値の範囲を求める。

1. 問題の内容

$a > 1$ のとき、無限等比級数 $a + ax(1-ax) + ax^2(1-ax)^2 + ax^3(1-ax)^3 + \dots$ が収束するような実数 $x$ の範囲を求め、そのときの和 $S(x)$ を求める。さらに、$x$ が求めた範囲を動くとき、$S(x)$ のとり得る値の範囲を求める。

2. 解き方の手順

(1)

与えられた級数は、初項 $a$, 公比 $ax(1-ax)$ の無限等比級数である。この級数が収束するためには、公比の絶対値が1より小さくなければならない。すなわち、

$|ax(1-ax)| < 1$

$|ax-a^2x^2| < 1$

$-1 < ax - a^2x^2 < 1$

$-1 < ax - a^2x^2$ かつ $ax - a^2x^2 < 1$

$a^2x^2 - ax - 1 < 0$ (1)

$a^2x^2 - ax + 1 > 0$ (2)

(1) の不等式を解く。

$a^2x^2 - ax - 1 = 0$ の解は、$x = \frac{a \pm \sqrt{a^2 + 4a^2}}{2a^2} = \frac{a \pm a\sqrt{5}}{2a^2} = \frac{1 \pm \sqrt{5}}{2a}$

したがって、$\frac{1-\sqrt{5}}{2a} < x < \frac{1+\sqrt{5}}{2a}$

(2) の不等式を解く。

$a^2x^2 - ax + 1 = 0$ の判別式は、$D = a^2 - 4a^2 = -3a^2 < 0$ なので、$a^2x^2 - ax + 1 > 0$ は常に成り立つ。

したがって、収束条件は $\frac{1-\sqrt{5}}{2a} < x < \frac{1+\sqrt{5}}{2a}$ である。

このとき、無限等比級数の和 $S(x)$ は、

$S(x) = \frac{a}{1 - ax(1-ax)} = \frac{a}{1 - ax + a^2x^2}$

(2)

$S(x) = \frac{a}{a^2x^2 - ax + 1} = \frac{a}{a^2(x - \frac{1}{2a})^2 - \frac{1}{4} + 1} = \frac{a}{a^2(x - \frac{1}{2a})^2 + \frac{3}{4}}$

$x$ の範囲が $\frac{1-\sqrt{5}}{2a} < x < \frac{1+\sqrt{5}}{2a}$ であるとき、

$x = \frac{1}{2a}$ のとき、$S(x)$ は最大値 $\frac{4a}{3}$ をとる。

$x = \frac{1 \pm \sqrt{5}}{2a}$ のとき、$S(x)$ は $1$ に近づく。

$x$ が $\frac{1-\sqrt{5}}{2a}$ または $\frac{1+\sqrt{5}}{2a}$ に限りなく近づくと、$a^2x^2 -ax +1 = 1$ となるので、$S(x)$ は $a$ に限りなく近づく。

$x$ が $\frac{1-\sqrt{5}}{2a} < x < \frac{1+\sqrt{5}}{2a}$ を動くとき、$S(x)$ の取りうる値の範囲は $a < S(x) \le \frac{4a}{3}$ である。

3. 最終的な答え

(1) $x$ の範囲: $\frac{1-\sqrt{5}}{2a} < x < \frac{1+\sqrt{5}}{2a}$

$S(x) = \frac{a}{1 - ax + a^2x^2}$

(2) $S(x)$ の範囲: $a < S(x) \le \frac{4a}{3}$