問題は以下の2つです。 (1) 命題「整数 $n$ が 5 の倍数でなければ、$n^2$ は 5 の倍数ではない」が真であることを証明する。 (2) 上記の命題を用いて、$\sqrt{5}$ が有理数でないことを背理法で証明する。

数論背理法整数の性質平方根倍数
2025/6/15

1. 問題の内容

問題は以下の2つです。
(1) 命題「整数 nn が 5 の倍数でなければ、n2n^2 は 5 の倍数ではない」が真であることを証明する。
(2) 上記の命題を用いて、5\sqrt{5} が有理数でないことを背理法で証明する。

2. 解き方の手順

(1) 命題「整数 nn が 5 の倍数でなければ、n2n^2 は 5 の倍数ではない」の証明
この命題の対偶は「n2n^2 が 5 の倍数ならば、nn は 5 の倍数である」です。対偶が真であることを示せば、元の命題も真であると言えます。
n2n^2 が 5 の倍数であるとき、n2=5kn^2 = 5kkk は整数)と表せます。
nn が 5 の倍数でないと仮定すると、n=5m+1n = 5m + 1, 5m+25m + 2, 5m+35m + 3, 5m+45m + 4mm は整数)のいずれかの形で表せます。
それぞれのケースで n2n^2 を計算してみます。
* n=5m+1n = 5m + 1 のとき、n2=(5m+1)2=25m2+10m+1=5(5m2+2m)+1n^2 = (5m + 1)^2 = 25m^2 + 10m + 1 = 5(5m^2 + 2m) + 1
* n=5m+2n = 5m + 2 のとき、n2=(5m+2)2=25m2+20m+4=5(5m2+4m)+4n^2 = (5m + 2)^2 = 25m^2 + 20m + 4 = 5(5m^2 + 4m) + 4
* n=5m+3n = 5m + 3 のとき、n2=(5m+3)2=25m2+30m+9=5(5m2+6m+1)+4n^2 = (5m + 3)^2 = 25m^2 + 30m + 9 = 5(5m^2 + 6m + 1) + 4
* n=5m+4n = 5m + 4 のとき、n2=(5m+4)2=25m2+40m+16=5(5m2+8m+3)+1n^2 = (5m + 4)^2 = 25m^2 + 40m + 16 = 5(5m^2 + 8m + 3) + 1
いずれの場合も、n2n^2 は 5 の倍数ではありません。これは、n2n^2 が 5 の倍数であるという仮定に矛盾します。したがって、nn は 5 の倍数でなければなりません。よって、対偶は真であり、元の命題も真です。
(2) 5\sqrt{5} が有理数でないことの証明
背理法を用いて証明します。5\sqrt{5} が有理数であると仮定すると、互いに素な整数 pp, qqq0q \neq 0)を用いて、
5=pq\sqrt{5} = \frac{p}{q} と表せます。
両辺を2乗すると、5=p2q25 = \frac{p^2}{q^2} となり、p2=5q2p^2 = 5q^2 となります。
これは、p2p^2 が 5 の倍数であることを意味します。
(1) で証明した命題(の対偶)より、p2p^2 が 5 の倍数ならば、pp は 5 の倍数です。
したがって、p=5kp = 5kkk は整数)と表せます。
p=5kp = 5kp2=5q2p^2 = 5q^2 に代入すると、(5k)2=5q2(5k)^2 = 5q^2 となり、25k2=5q225k^2 = 5q^2、つまり 5k2=q25k^2 = q^2 となります。
これは、q2q^2 が 5 の倍数であることを意味します。再び(1) で証明した命題(の対偶)より、q2q^2 が 5 の倍数ならば、qq は 5 の倍数です。
したがって、ppqq も 5 の倍数となり、ppqq が互いに素であるという仮定に矛盾します。
したがって、5\sqrt{5} は有理数であるという仮定が誤りであり、5\sqrt{5} は有理数ではありません。

3. 最終的な答え

(1) 命題「整数 nn が 5 の倍数でなければ、n2n^2 は 5 の倍数ではない」は真である。
(2) 5\sqrt{5} は有理数ではない。

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