与えられた各 $W$ が、ベクトル空間 $\mathbb{R}[x]_3$ の部分空間であるかどうかを判定します。ここで、$\mathbb{R}[x]_3$ は実数係数の3次以下の多項式全体のなすベクトル空間を表します。部分空間であるための条件は、(1) 零ベクトルを含む、(2) スカラー倍で閉じる、(3) 和で閉じる、の3つです。

1. 問題の内容

与えられた各 $W$ が、ベクトル空間 $\mathbb{R}[x]_3$ の部分空間であるかどうかを判定します。ここで、$\mathbb{R}[x]_3$ は実数係数の3次以下の多項式全体のなすベクトル空間を表します。部分空間であるための条件は、(1) 零ベクトルを含む、(2) スカラー倍で閉じる、(3) 和で閉じる、の3つです。

2. 解き方の手順

(a) $W = \{f(x) \in \mathbb{R}[x]_3 \mid f(0) = 0, f(1) = 0\}$

* 零ベクトル：$f(x) = 0$ は $f(0) = 0, f(1) = 0$ を満たすので、$W$ に含まれます。

* スカラー倍：$f(x) \in W$ ならば、$f(0) = 0$ かつ $f(1) = 0$ です。任意のスカラー $c \in \mathbb{R}$ に対して、$(cf)(0) = c \cdot f(0) = c \cdot 0 = 0$ かつ $(cf)(1) = c \cdot f(1) = c \cdot 0 = 0$ となるので、$cf(x) \in W$ です。

* 和：$f(x), g(x) \in W$ ならば、$f(0) = 0, f(1) = 0$ かつ $g(0) = 0, g(1) = 0$ です。したがって、$(f+g)(0) = f(0) + g(0) = 0 + 0 = 0$ かつ $(f+g)(1) = f(1) + g(1) = 0 + 0 = 0$ となるので、$f(x) + g(x) \in W$ です。

結論: $W$ は部分空間です。

(b) $W = \{f(x) \in \mathbb{R}[x]_3 \mid f(0) = 1, f(1) = 0\}$

* 零ベクトル：$f(x) = 0$ は $f(0) = 1$ を満たさないので、$W$ に含まれません。

結論: $W$ は部分空間ではありません。

(c) $W = \{f(x) \in \mathbb{R}[x]_3 \mid f(3) = 0, f(2) = 0\}$

* 零ベクトル：$f(x) = 0$ は $f(3) = 0, f(2) = 0$ を満たすので、$W$ に含まれます。

* スカラー倍：$f(x) \in W$ ならば、$f(3) = 0$ かつ $f(2) = 0$ です。任意のスカラー $c \in \mathbb{R}$ に対して、$(cf)(3) = c \cdot f(3) = c \cdot 0 = 0$ かつ $(cf)(2) = c \cdot f(2) = c \cdot 0 = 0$ となるので、$cf(x) \in W$ です。

* 和：$f(x), g(x) \in W$ ならば、$f(3) = 0, f(2) = 0$ かつ $g(3) = 0, g(2) = 0$ です。したがって、$(f+g)(3) = f(3) + g(3) = 0 + 0 = 0$ かつ $(f+g)(2) = f(2) + g(2) = 0 + 0 = 0$ となるので、$f(x) + g(x) \in W$ です。

結論: $W$ は部分空間です。

(d) $W = \{f(x) \in \mathbb{R}[x]_3 \mid f(1) \leq 0, f(2) = 0\}$

* 零ベクトル：$f(x) = 0$ は $f(1) \leq 0, f(2) = 0$ を満たすので、$W$ に含まれます。

* スカラー倍：$f(x) \in W$ ならば、$f(1) \leq 0$ かつ $f(2) = 0$ です。$c = -1$ とすると、$(cf)(1) = (-1)f(1) \geq 0$ となり、$W$ に含まれない場合があります。

結論: $W$ は部分空間ではありません。

(e) $W = \{f(x) \in \mathbb{R}[x]_3 \mid f(3) = 0, f(1) = 0\}$

* 零ベクトル：$f(x) = 0$ は $f(3) = 0, f(1) = 0$ を満たすので、$W$ に含まれます。

* スカラー倍：$f(x) \in W$ ならば、$f(3) = 0$ かつ $f(1) = 0$ です。任意のスカラー $c \in \mathbb{R}$ に対して、$(cf)(3) = c \cdot f(3) = c \cdot 0 = 0$ かつ $(cf)(1) = c \cdot f(1) = c \cdot 0 = 0$ となるので、$cf(x) \in W$ です。

* 和：$f(x), g(x) \in W$ ならば、$f(3) = 0, f(1) = 0$ かつ $g(3) = 0, g(1) = 0$ です。したがって、$(f+g)(3) = f(3) + g(3) = 0 + 0 = 0$ かつ $(f+g)(1) = f(1) + g(1) = 0 + 0 = 0$ となるので、$f(x) + g(x) \in W$ です。

結論: $W$ は部分空間です。

(f) $W = \{f(x) \in \mathbb{R}[x]_3 \mid f''(x) - 2xf'(x) = 0\}$

* 零ベクトル：$f(x) = 0$ とすると、$f'(x) = 0, f''(x) = 0$ より、$f''(x) - 2xf'(x) = 0$ を満たすので、$W$ に含まれます。

* スカラー倍：$f(x) \in W$ ならば、$f''(x) - 2xf'(x) = 0$ です。任意のスカラー $c \in \mathbb{R}$ に対して、$(cf)''(x) - 2x(cf)'(x) = c f''(x) - 2x c f'(x) = c(f''(x) - 2xf'(x)) = c \cdot 0 = 0$ となるので、$cf(x) \in W$ です。

* 和：$f(x), g(x) \in W$ ならば、$f''(x) - 2xf'(x) = 0$ かつ $g''(x) - 2xg'(x) = 0$ です。したがって、$(f+g)''(x) - 2x(f+g)'(x) = f''(x) + g''(x) - 2x(f'(x) + g'(x)) = (f''(x) - 2xf'(x)) + (g''(x) - 2xg'(x)) = 0 + 0 = 0$ となるので、$f(x) + g(x) \in W$ です。

結論: $W$ は部分空間です。

3. 最終的な答え

(a) 部分空間である

(b) 部分空間ではない

(c) 部分空間である

(d) 部分空間ではない

(e) 部分空間である

(f) 部分空間である