20歳の女性12人を抽出し、食事開始4分後の最高血圧値と安静時の最高血圧値の差を測定したところ、標本平均 $\bar{X} = 6.17$、標本分散 $V = 36.7$ であった。食事開始4分後の最高血圧値と安静時の最高血圧値の間に差があるかどうかを有意水準1%で検定する。

確率論・統計学仮説検定t検定χ二乗検定標本分散有意水準信頼区間
2025/6/17
## 問1

1. 問題の内容

20歳の女性12人を抽出し、食事開始4分後の最高血圧値と安静時の最高血圧値の差を測定したところ、標本平均 Xˉ=6.17\bar{X} = 6.17、標本分散 V=36.7V = 36.7 であった。食事開始4分後の最高血圧値と安静時の最高血圧値の間に差があるかどうかを有意水準1%で検定する。

2. 解き方の手順

(1) 帰無仮説 H0H_0 と対立仮説 H1H_1 を設定する。
差がないという帰無仮説 H0:μ=0H_0: \mu = 0 に対して、差があるという対立仮説 H1:μ0H_1: \mu \neq 0 を立てる。これは両側検定である。
(2) 検定統計量を計算し、その分布の上側%点を求める。
標本数 n=12n = 12 は小さいので、tt 検定を用いる。検定統計量 tt は次のように計算される。
t=Xˉμ0V/n=6.17036.7/12=6.173.0586.171.7483.53t = \frac{\bar{X} - \mu_0}{\sqrt{V/n}} = \frac{6.17 - 0}{\sqrt{36.7/12}} = \frac{6.17}{\sqrt{3.058}} \approx \frac{6.17}{1.748} \approx 3.53
自由度 df=n1=121=11df = n - 1 = 12 - 1 = 11tt 分布において、有意水準1%の両側検定における棄却域を求める。tt 分布表より、t0.005(11)=3.106t_{0.005}(11) = 3.106 である。
(3) H0H_0 が棄却されるかどうかを判定し、結論を述べる。
計算された tt3.53|3.53| が棄却域 3.1063.106 より大きいので、帰無仮説 H0H_0 は棄却される。

3. 最終的な答え

(1) H0:μ=0H_0: \mu = 0, H1:μ0H_1: \mu \neq 0、 [両側]検定
(2) 検定統計量 t3.53t \approx 3.53, 分布の上側0.5%点は3.106 (t分布表から)
(3) 帰無仮説は棄却される。食事開始4分後の最高血圧値と安静時の最高血圧値の間には有意な差があると言える (有意水準1%で)。
## 問2

1. 問題の内容

正規母集団 N(μ,σ2)N(\mu, \sigma^2) から大きさ n=10n = 10 の標本を調べて、標本分散 V=34V = 34 を得た。帰無仮説 H0:σ2=20H_0: \sigma^2 = 20 を対立仮説 H1:σ2>20H_1: \sigma^2 > 20 に対して有意水準1%で検定する。また、σ2\sigma^2 の95%信頼区間を求める。

2. 解き方の手順

(1)(i) 帰無仮説と対立仮説から、右片側検定を行う。
(1)(ii) 検定統計量を計算し、その分布の上側%点を求める。
χ2\chi^2 検定を用いる。検定統計量 χ2\chi^2 は次のように計算される。
χ2=(n1)Vσ02=(101)×3420=9×3420=30620=15.3\chi^2 = \frac{(n-1)V}{\sigma_0^2} = \frac{(10-1) \times 34}{20} = \frac{9 \times 34}{20} = \frac{306}{20} = 15.3
自由度 df=n1=101=9df = n - 1 = 10 - 1 = 9χ2\chi^2 分布において、有意水準1%の右片側検定における棄却域を求める。χ2\chi^2 分布表より、χ0.012(9)=21.666\chi^2_{0.01}(9) = 21.666 である。
(1)(iii) H0H_0 が棄却されるかどうかを判定し、結論を述べる。
計算された χ2\chi^215.315.3 が棄却域 21.66621.666 より小さいので、帰無仮説 H0H_0 は棄却されない。
(2) σ2\sigma^2 の95%信頼区間を求める。
χ2\chi^2 分布を用いて、信頼区間を求める。自由度9のχ2\chi^2 分布において、下側2.5%点 χ0.9752(9)\chi^2_{0.975}(9) と上側2.5%点 χ0.0252(9)\chi^2_{0.025}(9) を求める。χ2\chi^2 分布表より、χ0.9752(9)=2.700\chi^2_{0.975}(9) = 2.700χ0.0252(9)=19.023\chi^2_{0.025}(9) = 19.023 である。
σ2\sigma^2 の95%信頼区間は、
(n1)Vχ0.0252(9)σ2(n1)Vχ0.9752(9)\frac{(n-1)V}{\chi^2_{0.025}(9)} \le \sigma^2 \le \frac{(n-1)V}{\chi^2_{0.975}(9)}
9×3419.023σ29×342.700\frac{9 \times 34}{19.023} \le \sigma^2 \le \frac{9 \times 34}{2.700}
30619.023σ23062.700\frac{306}{19.023} \le \sigma^2 \le \frac{306}{2.700}
16.085σ2113.33316.085 \le \sigma^2 \le 113.333

3. 最終的な答え

(1)(i) [右片側]検定
(1)(ii) 検定統計量 χ2=15.3\chi^2 = 15.3, 分布の上側1%点は 21.666 (χ2\chi^2 分布表から)
(1)(iii) 帰無仮説は棄却されない。母分散が20より大きいとは言えない (有意水準1%で)。
(2) σ2\sigma^2 の95%信頼区間: 16.085σ2113.33316.085 \le \sigma^2 \le 113.333

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