内積を定義するためには、以下の4つの性質を満たすことを示す必要があります。
(1) 対称性: (f,g)=(g,f) (2) 線形性: (af+bg,h)=a(f,h)+b(g,h) (3) 正値性: (f,f)≥0 (4) 非退化性: (f,f)=0⟺f=0 (1) 対称性:
(f,g)=∫abf(x)g(x)dx=∫abg(x)f(x)dx=(g,f) したがって、対称性が成り立つ。
(2) 線形性:
(af+bg,h)=∫ab(af(x)+bg(x))h(x)dx=∫ab(af(x)h(x)+bg(x)h(x))dx =∫abaf(x)h(x)dx+∫abbg(x)h(x)dx=a∫abf(x)h(x)dx+b∫abg(x)h(x)dx =a(f,h)+b(g,h) したがって、線形性が成り立つ。
(3) 正値性:
(f,f)=∫abf(x)2dx f(x)2≥0 であるから、∫abf(x)2dx≥0 したがって、正値性が成り立つ。
(4) 非退化性:
(f,f)=∫abf(x)2dx=0 とする。 f(x) は連続関数であり、f(x)2≥0 であるから、∫abf(x)2dx=0 となるためには、区間 [a,b] で f(x)2=0 である必要がある。 したがって、f(x)=0 for all x∈[a,b]。 逆に、f(x)=0 ならば、(f,f)=∫ab02dx=0。 したがって、非退化性が成り立つ。
以上の(1)から(4)より、(f,g)=∫abf(x)g(x)dx は内積を定義する。