行列が直交行列であるとは、その転置行列と元の行列の積が単位行列になることを意味します。つまり、各列ベクトルが互いに直交し、かつノルム(長さ)が1である必要があります。
まず、各列ベクトルの直交性から条件を導きます。
第1列と第2列の直交性:
a2−ab=0 a(a−b)=0 第1列と第3列の直交性:
ac+ac+ad=0 2ac+ad=0 a(2c+d)=0 a=0 または 2c=−d 第2列と第3列の直交性:
bc−bc=0 これは常に成り立つ。
次に、各列ベクトルのノルムが1である条件を導きます。
第1列のノルム:
a2+a2+a2=1 a=±31 第2列のノルム:
b2+(−b)2+0=1 b=±21 第3列のノルム:
c2+c2+d2=1 2c2+d2=1 条件 a=0の場合、第1列のノルムが1にならないため、a=0は不適。 従って、a=±31。 このとき、a=bより、a=b。 次に、a(a−b)=0より、a=b は成り立たないが、 2ac+ad=0より、a=0なので、2c+d=0からd=−2c 2c2+d2=1より、 2c2+(−2c)2=1 2c2+4c2=1 c=±61 d=−2c=∓62=∓36 以上のことから、a,b,c,dの候補は以下の通りです。 行列が直交行列である条件は、ATA=I (単位行列) です。 a2+a2+a2=3a2=1 より、a=±1/3. b2+(−b)2+0=2b2=1 より、b=±1/2. c2+c2+d2=2c2+d2=1. また、各列が直交する必要があるので、2ac+ad=0 より、2c+d=0 なので、d=−2c. よって、2c2+4c2=6c2=1 なので、c=±1/6. なので、d=∓2/6=∓2/3. しかし、a(a−b)=a2−ab=0である必要があります。 a=0から、a=bとなります。 そうすると、a=b=1/3または、a=b=−1/3。 このとき、2b2=1は満たされないため、このような条件を満たす直交行列は存在しません。 題意より、与えられた行列は直交行列とならない。