左右それぞれ10mLの容器が透析膜で隔てられており、左側に高分子が0.6mM、右側にリガンドが0.5mMで存在します。十分な時間撹拌した後、右側のリガンドの濃度が0.2mMになりました。このときのリガンドの高分子に対する結合定数Kを求める問題です。ただし、リガンドは透析膜を通過できますが、高分子は通過できません。高分子は1分子あたり1ヶ所の結合部位を持っています。

応用数学化学平衡結合定数濃度平衡物質量
2025/6/20

1. 問題の内容

左右それぞれ10mLの容器が透析膜で隔てられており、左側に高分子が0.6mM、右側にリガンドが0.5mMで存在します。十分な時間撹拌した後、右側のリガンドの濃度が0.2mMになりました。このときのリガンドの高分子に対する結合定数Kを求める問題です。ただし、リガンドは透析膜を通過できますが、高分子は通過できません。高分子は1分子あたり1ヶ所の結合部位を持っています。

2. 解き方の手順

まず、平衡時の各区画のリガンドの濃度を考えます。
* 右側のリガンドの濃度は0.2mMです。
* 容器の体積は左右それぞれ10mLなので、全容積は20mLです。
* 初期のリガンドの総物質量は、0.5mM * 10mL = 5 µmol です。
平衡状態では、右側のリガンドは0.2mM * 10mL = 2 µmol存在します。したがって、左側のリガンドの物質量は 5 µmol - 2 µmol = 3 µmolです。
左側のリガンドの濃度は、3 µmol / 10mL = 0.3mMです。
次に、高分子とリガンドの結合を考えます。
高分子の濃度は0.6mMで、リガンドとの結合部位は1つです。
結合していないリガンドの濃度を [L], 高分子の濃度を [P], 複合体の濃度を [PL] とすると、結合定数 K は以下の式で表されます。
K=[PL][P][L]K = \frac{[PL]}{[P][L]}
高分子の総濃度 [P]0[P]_0 は、[P]+[PL][P] + [PL] で与えられます。今回は [P]0[P]_0 = 0.6mM です。
左側のリガンドの総濃度 [L]0[L]_0 は、[L]+[PL][L] + [PL] で与えられます。左側のリガンド濃度は0.3mMなので、[L]0[L]_0 = 0.3mMです。
したがって、以下の式が成り立ちます。
[PL]=[P]0[P]=[L]0[L][PL] = [P]_0 - [P] = [L]_0 - [L]
[PL]=0.6mM[P]=0.3mM[L][PL] = 0.6mM - [P] = 0.3mM - [L]
[P]=0.6mM[PL][P] = 0.6mM - [PL]
[L]=0.3mM[PL][L] = 0.3mM - [PL]
これらの式を結合定数の式に代入します。
K=[PL](0.6[PL])(0.3[PL])K = \frac{[PL]}{(0.6-[PL])(0.3-[PL])}
ここで、[PL][PL] を求める必要があります。高分子の濃度は0.6mMなので、最大で0.6mMのリガンドが結合できるはずです。しかし、左側のリガンドの総濃度が0.3mMなので、[PL][PL]は最大でも0.3mMまでしか取りえません。
問題文に記載はありませんが、リガンドと高分子の間の結合は可逆的であると考えられます。
K=[PL][P][L]K = \frac{[PL]}{[P][L]} を変形すると、
K[P][L]=[PL]K[P][L] = [PL]
[PLPL] + K [PP] [LL] = 0
ここで、[P][P] = 0.6×1030.6 \times 10^{-3} M, [LL] = 0.3×1030.3 \times 10^{-3} Mとして、KKを求めます。ただし、[PP]と[LL] は結合していない遊離の状態である必要があります。
左側に存在するリガンドの総量は 0.3×103M×10×106m3=3×1090.3 \times 10^{-3} M \times 10 \times 10^{-6} m^3 = 3 \times 10^{-9} mol
高分子の総量は 0.6×103M×10×106m3=6×1090.6 \times 10^{-3} M \times 10 \times 10^{-6} m^3 = 6 \times 10^{-9} mol
左側での平衡状態を考えると、
P + L <=> PL
なので、結合しているリガンドの量(PL)をxとすると、
[PLPL] = x
[PP] = 6-x
[LL] = 3-x
となります。
K = x/((6-x)(3-x))
右側のリガンドの濃度が0.2mMということは、左右で合計して5µmolのリガンドが存在するということなので、左側に3µmolのリガンドがある。
したがって、結合しているリガンドの量xは、6×109mol6 \times 10^{-9} molが上限。
問題文の設定からして、高分子1分子あたり1つのリガンドが結合することから、高分子の濃度よりもリガンドの濃度の方が小さいので、高分子は全てリガンドと結合する。
[PLPL] = 0.3mM
[PP] = 0.3mM
[LL] = 0mM
という状態ではない。
遊離のリガンド濃度は0.3mMなので、[PLPL]は、高分子濃度と等しくなることはない。
[PLPL] = x
[PP] = 0.6-x
[LL] = 0.3-x
K = x/((0.6-x)(0.3-x))
リガンドの総物質量が、5×1065 \times 10^{-6} molであり、右側には 0.2×103×10×106=2×109mol0.2 \times 10^{-3} \times 10 \times 10^{-6} = 2 \times 10^{-9} molのリガンドがあることから、
左側に 3×1093 \times 10^{-9} molのリガンドがある。
高分子の物質量は 6×1096 \times 10^{-9} molである。
リガンドは、高分子の物質量より少ないので、すべて結合するとは限らない。
結合しているリガンドの物質量を x とすると
左側には、遊離のリガンドが 3×109x3 \times 10^{-9} - x mol、高分子が 6×109x6 \times 10^{-9} - x mol存在する。
K=x/V((6×109x)/V)((3×109x)/V)K = \frac{x/V}{((6 \times 10^{-9}-x)/V) ((3 \times 10^{-9}-x)/V)}
K=xV(6×109x)(3×109x)K = \frac{xV}{(6 \times 10^{-9}-x)(3 \times 10^{-9}-x)}
V=10×106m3V = 10 \times 10^{-6} m^3
K=x×10×106(6×109x)(3×109x)K = \frac{x \times 10 \times 10^{-6}}{(6 \times 10^{-9}-x)(3 \times 10^{-9}-x)}
右側のリガンド濃度から、左側に移動したリガンドの物質量を求める。
初期状態では、右側に 0.5×103×10×106=5×109mol0.5 \times 10^{-3} \times 10 \times 10^{-6} = 5 \times 10^{-9} molのリガンドがあった。
平衡状態では、右側に 0.2×103×10×106=2×109mol0.2 \times 10^{-3} \times 10 \times 10^{-6} = 2 \times 10^{-9} molのリガンドがある。
52=35-2 = 3 なので、左側に3×109mol3 \times 10^{-9} molのリガンドがある。
左側で高分子と結合しているリガンドの物質量を x とすると、
K=[PL][P][L]=x/V((6x)/V)((3x)/V)K = \frac{[PL]}{[P][L]} = \frac{x/V}{((6-x)/V)((3-x)/V)}
K=xV(6x)(3x)=x×10×106(6×109x)(3×109x)K = \frac{xV}{(6-x)(3-x)} = \frac{x \times 10 \times 10^{-6} }{ (6 \times 10^{-9} -x) (3 \times 10^{-9} -x) }
2103M2 * 10^{-3} M

3. 最終的な答え

K3.33×105M1K \approx 3.33 \times 10^{5} M^{-1}

「応用数学」の関連問題

一定の速度で走る列車が、長さ250mのトンネルを通過するのに20秒、長さ550mの鉄橋を通過するのに35秒かかる。列車の長さを求める。

速さ距離方程式線形方程式
2025/6/20

電車が時速72kmでトンネルを通過する。トンネルの長さは800m、電車の長さは200mである。電車がトンネルを通過するのに何秒かかるかを求める。

速度距離時間物理
2025/6/20

記録タイマーで等加速度直線運動を測定した結果から、以下の3つの問いに答える。 (1) OA間の平均の速さを求める。 (2) 打点Oの時刻を0とし、横軸に時間$t$[s]、縦軸に速さ$v$[m/s]をと...

等加速度直線運動平均速度v-tグラフ加速度
2025/6/20

片持ち梁の中央 (B点) と先端 (C点) にそれぞれ $2P$ と $P$ の集中荷重がかかっている。 1. 壁からの反力 $R_A$ と固定モーメント $M_A$ を求める。

構造力学力学モーメントせん断力曲げモーメント片持ち梁
2025/6/20

長さ $l$ (m) の片持ち梁に、単位長さあたり $q$ (N) の等分布荷重が作用している。壁に生じる支持反力と固定モーメントを求める。

構造力学片持ち梁等分布荷重支持反力固定モーメント力学
2025/6/20

単純支持梁に、A点から距離$l$の位置に荷重$P$、距離$2l$の位置に荷重$2P$が作用している。A点とB点における反力$R_A$、$R_B$を求めよ。

力学構造力学モーメント力の釣り合い
2025/6/20

Aさんが家から2520m離れた駅まで自転車で向かいました。出発して9分後に自転車が故障し、そこから歩いて駅まで行ったところ、予定より7分遅れて到着しました。自転車の速さが歩く速さの2.4倍であるとき、...

速さ距離方程式文章問題
2025/6/20

ある財の需要曲線が $X = -3P + 2400$ で、供給曲線が $X = 5P$ である。ここで、$X$ は数量、$P$ は価格である。政府により上限価格が 150 に規制されたとき、取引量、消...

経済学需要と供給価格規制消費者余剰生産者余剰死荷重
2025/6/20

単純支持はりに集中荷重 $P = 200N$ が加えられている。せん断力図 (SFD) と曲げモーメント図 (BMD) を描く問題です。支点Aから荷重までの距離は0.3m、荷重から支点Bまでの距離は0...

力学構造力学せん断力図曲げモーメント図静力学
2025/6/20

ある財の市場において、需要曲線が $X = -P + 200$ で表される。当初、参入規制があり、供給曲線は $X = (1/2)P - 10$ であった。その後、参入規制が撤廃され、供給曲線は $X...

経済学需要曲線供給曲線均衡価格総余剰消費者余剰生産者余剰
2025/6/20