正則行列 $P$ を用いて、行列 $A$ が $P^{-1}AP = \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix}$ と対角化されたとする。以下の問いに答えよ。 (1) $\det(P^{-1}) = (\det P)^{-1}$ であることを示せ。 (2) $\det(P^{-1}AP) = \det A$ であることを示せ。 (3) $\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値であることを示せ。

## 問題3について

1. 問題の内容

正則行列 $P$ を用いて、行列 $A$ が $P^{-1}AP = \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix}$ と対角化されたとする。以下の問いに答えよ。

(1) $\det(P^{-1}) = (\det P)^{-1}$ であることを示せ。

(2) $\det(P^{-1}AP) = \det A$ であることを示せ。

(3) $\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値であることを示せ。

2. 解き方の手順

(1) $\det(P^{-1}) = (\det P)^{-1}$ であることの証明

行列 $P$ が正則であるとき、$P P^{-1} = I$ ($I$は単位行列) が成り立つ。

両辺の行列式を取ると、

$\det(P P^{-1}) = \det(I)$

$\det(P) \det(P^{-1}) = 1$

$\det(P^{-1}) = \frac{1}{\det(P)} = (\det P)^{-1}$

(2) $\det(P^{-1}AP) = \det A$ であることの証明

行列式の性質として、$\det(AB) = \det(A) \det(B)$ がある。これを用いると、

$\det(P^{-1}AP) = \det(P^{-1}) \det(A) \det(P)$

(1)の結果より、$\det(P^{-1}) = (\det P)^{-1}$ なので、

$\det(P^{-1}AP) = (\det P)^{-1} \det(A) \det(P)$

$\det(P^{-1}AP) = \det(A) (\det P)^{-1} \det(P)$

$\det(P^{-1}AP) = \det(A)$

(3) $\alpha$ と $\beta$ が $A$ の固有値であることの証明

$P^{-1}AP = \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix}$ であることから、

$\det(P^{-1}AP) = \alpha \beta$

(2)の結果より、$\det(P^{-1}AP) = \det(A)$ なので、

$\det(A) = \alpha \beta$

また、対角化された行列のトレースは、対角成分の和なので、

$\text{tr}(P^{-1}AP) = \alpha + \beta$

トレースの性質から、$\text{tr}(P^{-1}AP) = \text{tr}(A)$ なので、

$\text{tr}(A) = \alpha + \beta$

問題2(1)より、固有値 $\lambda_1, \lambda_2$ に対して、$\lambda_1 + \lambda_2 = \text{tr}(A)$ かつ $\lambda_1 \lambda_2 = \det(A)$ が成り立つ。

したがって、$\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値である。

3. 最終的な答え

(1) $\det(P^{-1}) = (\det P)^{-1}$

(2) $\det(P^{-1}AP) = \det A$

(3) $\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値である。