モースポテンシャル $U(r) = U_0 [e^{-2a(r-r_e)} - 2e^{-a(r-r_e)}]$ について、 (a) 分子の平衡結合距離と解離エネルギーを求めよ。 (b) $U(r)$ のグラフの概形を図示し、$U(r)$ の第1項と第2項が表す力を説明せよ。 (c) 安定平衡点近傍で調和振動子で近似できることを示し、有効バネ定数 $k_e$ を求め、極小点近傍での近似を図示し、議論せよ。

応用数学ポテンシャルモースポテンシャル平衡結合距離解離エネルギー調和振動子テイラー展開物理学
2025/6/25

1. 問題の内容

モースポテンシャル U(r)=U0[e2a(rre)2ea(rre)]U(r) = U_0 [e^{-2a(r-r_e)} - 2e^{-a(r-r_e)}] について、
(a) 分子の平衡結合距離と解離エネルギーを求めよ。
(b) U(r)U(r) のグラフの概形を図示し、U(r)U(r) の第1項と第2項が表す力を説明せよ。
(c) 安定平衡点近傍で調和振動子で近似できることを示し、有効バネ定数 kek_e を求め、極小点近傍での近似を図示し、議論せよ。

2. 解き方の手順

(a) 平衡結合距離は、U(r)U(r) を最小にする rr の値である。U(r)U(r)rr で微分し、0 とおいて解く。
U(r)=U0[2ae2a(rre)+2aea(rre)]=0U'(r) = U_0 [-2ae^{-2a(r-r_e)} + 2ae^{-a(r-r_e)}] = 0
e2a(rre)=ea(rre)e^{-2a(r-r_e)} = e^{-a(r-r_e)}
2a(rre)=a(rre)-2a(r-r_e) = -a(r-r_e)
2a(rre)=a(rre)2a(r-r_e) = a(r-r_e)
rre=0r-r_e = 0
r=rer = r_e
したがって、平衡結合距離は rer_e である。
解離エネルギーは、rr \rightarrow \infty のときの U(r)U(r) の値から、平衡位置での U(r)U(r) の値を引いたものである。
U()=U0[00]=0U(\infty) = U_0 [0 - 0] = 0 は間違いである。正しくは以下:
rr \to \inftye2a(rre)0e^{-2a(r-r_e)} \to 0 かつ ea(rre)0e^{-a(r-r_e)} \to 0 なので、U(r)0U(r) \to 0 となる。
平衡位置 r=rer = r_e での U(r)U(r) の値は、
U(re)=U0[e02e0]=U0[12]=U0U(r_e) = U_0 [e^0 - 2e^0] = U_0 [1 - 2] = -U_0
したがって、解離エネルギーは 0(U0)=U00 - (-U_0) = U_0 である。
(b) U(r)=U0[e2a(rre)2ea(rre)]U(r) = U_0 [e^{-2a(r-r_e)} - 2e^{-a(r-r_e)}] のグラフは、r=rer = r_e で極小値をとり、rr \rightarrow \infty で 0 に漸近する。また、r0r \rightarrow 0U(r)U0(e2are2eare)U(r) \rightarrow U_0 (e^{2ar_e} - 2e^{ar_e}) \to \infty となる。
第1項 U1(r)=U0e2a(rre)U_1(r) = U_0 e^{-2a(r-r_e)} は斥力を表す。原子間距離が小さくなると急激に増加する。
第2項 U2(r)=2U0ea(rre)U_2(r) = -2U_0 e^{-a(r-r_e)} は引力を表す。原子間距離が大きくなると緩やかに減少する。
(c) 安定平衡点近傍では、U(r)U(r) を Taylor 展開で近似できる。
U(r)U(re)+U(re)(rre)+12U(re)(rre)2U(r) \approx U(r_e) + U'(r_e)(r - r_e) + \frac{1}{2}U''(r_e)(r - r_e)^2
U(re)=U0U(r_e) = -U_0, U(re)=0U'(r_e) = 0 なので、
U(r)U0+12U(re)(rre)2U(r) \approx -U_0 + \frac{1}{2}U''(r_e)(r - r_e)^2
U(r)=U0[4a2e2a(rre)2a2ea(rre)]U''(r) = U_0 [4a^2e^{-2a(r-r_e)} - 2a^2e^{-a(r-r_e)}]
U(re)=U0[4a22a2]=2a2U0U''(r_e) = U_0 [4a^2 - 2a^2] = 2a^2U_0
U(r)U0+a2U0(rre)2U(r) \approx -U_0 + a^2U_0(r - r_e)^2
ke=2a2U0k_e = 2a^2U_0 となる。

3. 最終的な答え

(a) 平衡結合距離: rer_e
  解離エネルギー: U0U_0
(b) グラフの概形は上記参照。第1項は斥力、第2項は引力を表す。
(c) 有効バネ定数: ke=2a2U0k_e = 2a^2U_0

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