質量 $M$ と $m$ の2つの質点間の万有引力について、以下の問いに答える。 (a) 万有引力が保存力であることを示せ。 (b) 万有引力ポテンシャルを求め、$r$ 依存性を示せ。 (c) 地球上の物体の自由落下が万有引力によるとして、地球の質量を見積もり、実際の値と比較せよ。

応用数学万有引力ポテンシャル力学物理重力地球の質量
2025/6/25

1. 問題の内容

質量 MMmm の2つの質点間の万有引力について、以下の問いに答える。
(a) 万有引力が保存力であることを示せ。
(b) 万有引力ポテンシャルを求め、rr 依存性を示せ。
(c) 地球上の物体の自由落下が万有引力によるとして、地球の質量を見積もり、実際の値と比較せよ。

2. 解き方の手順

(a) 保存力の定義:力 F\vec{F} が保存力であるとは、任意の閉曲線 CC に沿った仕事がゼロになること、すなわち CFdr=0\oint_C \vec{F} \cdot d\vec{r} = 0 となることである。または、力 F\vec{F} があるスカラー関数 UU の勾配の負の形で表されること、すなわち F=U\vec{F} = -\nabla U となることである。
万有引力 F=GMmr2r^\vec{F} = -\frac{GMm}{r^2}\hat{r} は中心力であり、中心力は保存力である。なぜなら、万有引力は位置エネルギー U(r)U(r) の勾配の負の形で表されるからである。
U(r)=FdrU(r) = - \int \vec{F} \cdot d\vec{r}
U(r)=GMmr2dr=GMmrU(r) = -\int -\frac{GMm}{r^2} dr = - \frac{GMm}{r}
(b) 万有引力ポテンシャルは U(r)=GMmrU(r) = -\frac{GMm}{r} である。rr 依存性は U(r)1rU(r) \propto \frac{1}{r} となる。
(c) 地球の質量を MEM_E、物体の質量を mm とすると、物体に働く重力は F=mgF = mg と表される。一方、万有引力は F=GMEmR2F = \frac{GM_E m}{R^2} と表される。ここで RR は地球の半径である。これらが等しいとすると、
mg=GMEmR2mg = \frac{GM_E m}{R^2}
ME=gR2GM_E = \frac{gR^2}{G}
与えられた値 g9.8m/s2g \approx 9.8 \, \text{m/s}^2, R6.4×106mR \approx 6.4 \times 10^6 \, \text{m}, G6.67×1011N m2/kg2G \approx 6.67 \times 10^{-11} \, \text{N m}^2/\text{kg}^2 を代入すると、
ME=9.8×(6.4×106)26.67×10116.0×1024kgM_E = \frac{9.8 \times (6.4 \times 10^6)^2}{6.67 \times 10^{-11}} \approx 6.0 \times 10^{24} \, \text{kg}
これは実際の値 5.97×10245.97 \times 10^{24} kg とほぼ一致する。

3. 最終的な答え

(a) 万有引力は保存力である。
(b) 万有引力ポテンシャル:U(r)=GMmrU(r) = -\frac{GMm}{r}rr 依存性:U(r)1rU(r) \propto \frac{1}{r}
(c) 地球の質量の概算:ME6.0×1024kgM_E \approx 6.0 \times 10^{24} \, \text{kg} 、実際の値とほぼ一致する。

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